辻元清美役員室長は29日、民進党公認で野党統一候補として戦う林久美子候補者の応援のため滋賀県に入り、米原市内各地での街頭演説会と個人演説会に参加。「弱い立場の人たちに寄り添い、その声を受け止め政治活動をしてきた林候補を国会に送り返してほしい」と呼びかけた。

辻元清美役員室長

辻元役員室長

 個人演説会で辻元役員室長は、安倍政権の経済政策アベノミクスをめぐり、「金融と株価をつりあげることに頼った経済政策では、今回のようなイギリスのEU(欧州連合)離脱といった事態が起これば株はどんと下がり、円高になれば経済は大打撃を受ける」と批判。「私たち民進党は内需を底上げしていく政策を目指す。介護や年金、子育て、雇用が安心できれば消費は拡大する。日本の資源は人材であり、子どもや若者を応援することでその人たちが経済を引っ張っていく」などと主張し、「危ういアベノミクスに歯止めをかけ、政策を変換させるためにも野党に力を貸してほしい」と訴えた。

 「アベノミクスにはもれなく憲法改正がついてくる」とも述べ、2014年の衆院総選挙でもアベノミクスを争点に掲げながら選挙後には憲法違反と言われる安全保障法制の強行採決に向かってまっしぐらに進んでいったと指摘。「今度は憲法9条。参院選挙で3分の2以上の議席を取らせたら憲法9条の改正に手を付けることになる。全面的に戦争をできる方向に変えるのが自民党の憲法改正草案だ」と断じた。

 与党側からの「野合」批判には、世論調査などでも明らかなように、「野党がばらばらに候補を立てるのではなく、候補者を一本化し与野党一騎打ちの形で選挙をしてほしい」というのが国民の半数以上の声だと反論。その声を受け止め各政党で話し合い、候補者を一本化したとして、現在の1強他弱の国会にバランスを取り戻すことが日本の民主主義、政治にとって大事だと強調した。

 最後に、「ここで自民党に勝たせるということは、滋賀の皆さんはどうぞ(安倍総理の)好きにやってちょうだい、弱い者を切り捨てでもいいですと認めたことになる。どうか皆さん、弱い立場に寄り添い、いろいろな現場を歩き、声を受け止め国会で活動してきた林久美子さんを国会に送ってほしい」と呼びかけた。

林久美子候補

林候補

 林候補は冒頭、「今回は『勝たなければいけない』選挙。なぜならこの国がこれからどういう方向に進んでいくのか、おそらく非常に重たい分岐点になっているからだ。東京のごく一部のお金持ちだけが豊かになり続け、こうして地域で真面目に暮らしている皆さんが置いてきぼりになる社会になるのか、それとも普通の人が豊かになれる社会になるかの分岐点。他国の戦争に参加する国になるのか、平和国家日本として歩み続けていけるかの分岐点に立っている」と表明。

 安倍政権になって年金積立金の株式による運用比率を24%から50%へと引き上げた結果、昨年度に約5兆円の損失が出たと見られているが、その数字の発表は参院選後に先送りされていること、英国のEU離脱決定の影響で株が下がり、わずか1日で2兆円を超える年金が消えたと見られることなどに言及し、「皆さんの年金を勝手にマネーゲームにぶちこんで、失敗して損したら国民の年金が減らされるというのはどういうことか」「地方で暮らす人々の思い、年金で暮らす人々の生活、子どもを抱えて大変な思いをしながら仕事と子育てを両立している人、妊娠9カ月で保育所に入れられるか心配で仕方がないというお母さんの思い、そういう皆さんの気持ちが安倍総理には残念ながらまったく分かっていない。都合のいい数字だけを引っ張ってきて、自分が付き合っているお金持ちが豊かになれば皆が豊かになったと思っている。そういう総理に、この国のかじ取りは任せられない」と指弾した。

 自民党の憲法改正草案で国防軍の創設と歯止めなき自衛権の行使を認める一方、基本的人権の本質について定める規定を削除しようとしていることなどに対しては、「今の政権に憲法改正をやらせるわけにはいかない。3分の2の議席を与えてはならない」と訴えた。

 最後に、「相手は巨大な軍艦で、こちらは手漕ぎ船だが、今回の手漕ぎ船には政党だけでなく地域の仲間、お母さん、若者と幅広い仲間がいる。これこそが武村県政、嘉田県政、三日月県政と引き継がれてきた滋賀県の草の根自治の原点だと思う。今回の選挙は巨大な権力対県民の良識との戦いだ。どうか力を貸してほしい」と呼びかけた。