参院本会議で27日、2017年度予算の歳入関連で政府提出の地方税法等改正案、地方交付税法等改正案、所得税法等改正案の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決・成立した。所得税法改正案の採決に先立ち民進党・新緑風会の古賀之士議員が同法案に反対討論を行った。
古賀議員は冒頭、「『税は国家なり』との言葉通り、本来、税制は国のあり方、社会の進むべき道を示すものではないか。しかし、この平成29(2017)年度税制改正は弥縫(びほう)策にとどまり、未来へのビジョンが残念ながら見えてこない。本法案に反対する最大の理由は、国民の間に広がっている将来への不安を解消することができないからだ」と表明した。
反対理由として古賀議員は、「最大の問題は税制の喫緊の課題である、所得税の抜本改革に手が付けられていないこと」と断じ、配偶者控除・配偶者特別控除の手直しはまさにその象徴だと指摘。政府はいわゆる骨太の方針2016で「女性が働きやすい税制・社会保障制度・配偶者手当等への見直しを進める」として特に税制については「幅広く丁寧な国民的議論を進める」としていたが、現実には唐突に「配偶者控除の年収要件を150万円へと拡大することが打ち出され、現行制度維持ならまだしも180度真逆のコースをたどった」ことを問題視した。
そのうえで、「今求められているのは、民進党の基本構想のように、配偶者控除や扶養控除を廃止し、新たに世帯控除を導入するなど、所得税の大胆な変革。『ふつうの人が豊かになる』、そうした社会をつくるために、抜本的な税制改革を早急に行わなければならない。まずは、所得控除から税額控除へと転換し、さらには税額控除から給付付き税額控除へと、税体系を大きく変えていく「日本型ベーシックインカム」、基礎的所得保障構想の実現で、新たな消費を生み出す、中所得者、低所得者の底上げを行うべきではないか」と提案した。
古賀議員は、「税制によって、未来の希望をつくりだしていく。税制によって、将来の不安を解消していく。政治が今を生きるわれわれだけでなく、これからを生きる子どもたちのためにも、すぐにでも行わなければならない。ところが、この所得税法改正案では、その道筋が全く見えない。だからこそ、この法案に反対する」と強調した。