演説する野田幹事長

 野田佳彦幹事長は27日、連合広島が広島・叶や前交差点で開いた共謀罪の取り下げを求める街頭演説会に参加、テロ対策にならない共謀罪法案の廃案を呼びかけた。

 連合広島の久光博智会長は、「過去3回にわたり廃案となった、かつての共謀罪と何ら変わりがない」と述べ、今回の共謀罪について、(1)適用対象があいまいで、一般の団体などが捜査の対象となりうる懸念がある(2)構成要件があいまいで、実行準備行為が拡大解釈されるおそれがある(3)準備行為を立証するための捜査手法が明確にされていないので捜査手法が拡大する恐れがある(4)自首した場合、罪を軽くする規定があり、人間同士の不信感拡大のおそれがある――などの問題点を指摘した。

 民進党広島県連代表の森本真治参院議員は、「法務大臣さえ分かっていないような法案について、今回の参院でしっかりと廃案に持ち込む。さらには法案の撤回を求めていく。民進党参院議員一丸となって臨んでいきたい」と、間もなく始まる参院での審議に対しての決意を述べるとともに、「来週以降の国会審議に注目して、私どもに大きな後押しをいただきたい」と支援を求めた。

 野田幹事長は、「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結にはわれわれも賛成。入るべきだと思うが、これはテロ対策とは全く関係がない。マフィアや暴力団が組織的に人身売買やマネーロンダリングすることを阻むための条約」と指摘。テロ対策で必要なものとして民進党が提案し衆院に提出した航空保安法案について「手荷物検査などをしているのは民間の業者。国の関与を強めハイジャック防止の水際対策を強化など、テロ対策は万全を期さなくてはならない」と説明した。

 また、テロ等準備罪という新しい名前にしているが「過去3回廃案になっている共謀罪そのもの」と指摘し、「かつて治安維持法という同じような法律が戦前にあった。暗黒の歴史が日本にもあった。同じことを今、安倍政権はやろうとしている」と厳しい口調で断じた。

 今回の街頭行動は、連合広島の山崎幸治事務局長が司会を務め、民進党の松本大輔・広島2区総支部長、塩村文夏・広島3区総支部長の他、県内の県議・市議も集まり活動を行った。