参院本会議で22日午後、安倍総理の所信表明演説に対して民進党・新緑風会の2番手として長浜博行議員が代表質問に立った。(1)地球温暖化(2)安倍総理の政治姿勢、政権運営(3)森友学園・加計学園(4)公文書管理(5)社会保障と税(6)皇室典範特例法の付則について総理の見解をただした。
公文書管理をめぐって長浜議員は、森友学園・加計学園・南スーダンPKOの事例で次々に明らかになった意図的な情報隠しとしか思えない政府の対応を問題視した。財務省は森友学園との国有地の売買契約に関する交渉記録を行政文書管理規則に基づく歴史公文書に該当しないとして、保存期間が1年未満であるとの理由で廃棄した。文科省は加計学園問題に関する「総理のご意向」と書かれた内部文書が存在することは認めたものの、個人のメモとして行政文書とは認めていない。防衛省は当初、南スーダンPKOの日報は存在せず不開示と決定したが、その後、電子データの省内掲示板に公開されていた日報を、個人資料であり行政文書には該当しないと説明した。
こうした一連の不適切な取り扱いに対して政府が行政文書に関するガイドラインの改正で対応しようとしていることについて長浜議員は、「憲法21条を根拠とする国民の知る権利に関する事項なのだから、正々堂々と国会審議が必要な法改正で行うべきだ」と総理に提案した。さらに、ガイドラインで「行政文書に該当するか否かを『文書の作成又は取得の状況、当該文書の利用の状況、保存又は廃棄の状況等を総合的に考慮して実質的に判断される』とした場合は、これまでと同様に都合の悪い場合は個人のメモだと言って廃棄が可能となってしまう」と深刻な懸念を示した。
これに対して安倍総理は、「さまざまなご指摘をいただいたことも踏まえ」と前置きして行政文書管理に問題があることを認めたが、長浜議員が求めた法改正までは踏み込まず、ガイドラインの改正での対応を示唆した。また、国民への説明責任を全うするとの公文書管理法の目的を果たすためと称して、「公文書を扱う職員一人ひとりの意識を一層高めていくことも重要。各府省職員向けの研修の充実等をはかる」と答弁。総理は森友・加計学園問題での自らの責任を不問にし行政職員に責任転嫁するという極めて不誠実な姿勢を示した。
また、本年6月に成立した天皇の退位等に関する皇室典範特例法に関連して長浜議員は、同法制定時に「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること」とした付帯決議について、政府が安定的な皇位継承を確保するための方策についてどのように議論し、いつ国会に報告するのかをただした。
安倍総理は「安定的な皇位継承を維持することは国家の基本にかかわる極めて重要な問題だ。男系継承が古来つつがなく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら慎重かつ丁寧に検討を行う」と女性宮家の創設等に消極的な姿勢を維持した。衆参両院の委員会で可決された付帯決議については「尊重ししっかり対応する」と答弁するにとどめた。