参院決算委員会で9日、2016年度決算他2件の全般質疑が行われ、民進党・新緑風会の2番手として質問に立った藤田幸久議員は(1)森友学園の決裁文書改ざん問題、イラク日報隠ぺい問題など安倍政権での公文書管理をめぐる不祥事と安倍総理の責任(2)安倍総理の政治手法――等に関して、安倍総理の認識をただした。
藤田議員は「安倍政権における公文書管理をめぐる不祥事」を提示するとともに、「部下の批判のオンパレードが続いている」と述べ、麻生財務大臣が財務省による公文書改ざんに関連して「佐川の責任のもとでやったこと」といった形で「佐川」「佐川」と前国税庁長官名を連発したことに着目した。また、稲田前防衛大臣がイラク日報隠ぺい問題に関連して自身の責任には言及しないままに「怒りを禁じ得ない」などと発言したことについて、「不都合なことが起きると政治家は官庁に、官庁のトップは部下に押し付けて、自分は逃げ切りを図る連鎖反応が起きている」と指摘した。
財務省による決済文書改ざん問題に関連しては2人の自殺者まで出す事態に至っていることにも危機感を示した。そのうえで安倍総理に「犯罪に問われかねない改ざんを300カ所も行うことは役所の人たちには何のメリットもない。これだけ各省庁で多くの人たちを結果的に追いつめているという認識とそれへの罪の意識はないか」とただしたが、安倍総理は「命を絶たれた方は残念でありご冥福をお祈りする。しかし、事の経緯が明らかでないなかで私もつまびらかには知らない。ただ人の命についてのことなので軽々にコメントすることは差し控える」などと述べるにとどまった。藤田議員は「さまざまな問題に共通するのは安倍総理のもとで行われたことで、まさに行政のトップである安倍総理自身の責任だ」と断じた。
「任命責任はすべて内閣総理大臣たる私にある」などと安倍総理は語ったが、藤田議員は「任命責任よりも結果責任が重要」だとして、世論調査でも森友学園問題の責任は安倍総理自身にあると指摘する声が70%に達し、イラク日報隠ぺい問題では公明党の山口代表が「国民と国会をだますに等しい行為」と指摘したことを紹介。安倍総理に対し、「民主主義、憲法を損ねた。法とルールに基づく、国家の統治機構そのものを破壊したと言ってもいい。こうしたさまざまな文書管理は国家犯罪そのものだ」と指摘した。「憲法、民主主義を損ねた結果責任として安倍総理自身が晩節を汚すのではなく辞任してほしい」と藤田議員は求めたが、安倍総理は「昨年の総選挙を戦い、国民の信を得た」「国民の負託を公約を果たすことで果たしていく」などと責任回避の姿勢に終始した。
藤田議員はさまざまな忖度(そんたく)や行政がねじ曲げられる政治構造は昨年2月17日に民進党の福島伸享議員(当時)が質問したのに対し、安倍総理が激高して「私や妻が関与していたら、総理と議員を辞める」と宣言したことから始まっている旨を指摘。昨年の総選挙前に「国民と国会をだますに等しい行為」であるイラクの日報問題、森友問題等が明らかになっていれば総選挙の結果は違っていたはずだとの見方を示すとともに、「国民が正しい判断ができないような隠し事を昨年以来ずっとやってきたということが今国会ではっきりした。その責任をしっかりとってほしい」と述べ、安倍総理に重ねて辞任を求めて質問を終えた。