矢田わか子参院議員は29日、参院本会議で安倍総理の所信表明演説に対する代表質問を行い、(1)1億総活躍社会(2)働き方改革(3)保育(4)子どもの貧困(5)配偶者控除の見直し――について質問した。矢田議員は冒頭、「働く意欲を持つ人が尊厳を持って働き、安心して生活できる社会づくりに貢献したい」と述べた。
矢田議員は、今臨時国会で「労働基準法」の改正により「ホワイトカラー・エグゼンプション」が導入されようとしていることに触れ、「この制度は、労働者が一定の条件にあれば、時間外・休日労働の割増し賃金を不払いにしてもよいというもの。対象労働者が長時間労働を強いられることが想定される。また、年収1千万円以上という条件もいずれ引き下げられ、対象となる労働者が膨れあがる」などと懸念を表明した。また、同じ法案の中で裁量労働制についても規制緩和が行われることに触れ、「これも成果を重視する労働時間法制の一つだが、私たちの経験から、この制度の運用では、『公平な評価基準に基づく運用』、『裁量による成果が反映される業務内容の明確化』、そして『個々人の自律性の尊重』などが必須で、これらの条件づくりが不十分なために、裁量労働制の運用が困難になったケースも多くある」と指摘した。また、こうした働き方が行き過ぎると、「成果を上げるために限界を超えて無理をして働きすぎる人も出てくることが想定される。労働への負荷が一段と高まり、メンタルヘルス疾患・過労死がさらに増えるおそれもある」と懸念した。
最後に矢田議員は、政府が配偶者控除制度を見直すことにより、女性の社会進出を促進させようとしていることに触れて「真に女性の社会進出を促すには、年金・医療などの社会保険制度や、雇用制度を含むトータルの政策パッケージで提起する必要がある」と考えを表明した。また、配偶者控除の廃止による約6300億円分の財源をどのように使うのか、税・社会保険を現在の「世帯単位」で考えるのか、あるいは「個人単位」に再編するのか――という課題を提起し、質問を終えた。